この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Love adventure
第33章 惑わすBEAT①

「……付け込まないで。私にはね、恋人が居るの。
あんたとは較べ物にならない、ワイルドで格好いい大人の男よっ」
「そうですか」
「そうですか、じゃないわよ!嘘でも食い下がって来なさいよね!
……女が襲われたショックで目の前で泣いてるのよ!?」
「……恋人さんに慰めてもらえば解決するのでは」
あぐりは絶句すると、激しく肩を震わせる。野村は長い睫毛の瞳を一瞬揺らし、彼女へと手を伸ばすが、また戻した。
「……いくら恋人でも……遠いもの……叫んだって……あの人には……私の声は届かないも…の…ひっ……く」
野村が大判バスタオルを差し出すと、あぐりは鼻水をずずっと啜り睨み付けた。
「何故そんな怖い顔をするんですか」
「だからっ!気が利かない男ね!慰めなさいよ!」
「付け込むのはNGなのではないですか?」
「時と場合によるのよ!」
「はあ……」
あぐりはタオルに顔を埋め、消え入りそうに呟いた。
「……お願…今だけ…っ」
震える華奢な身体を、野村は包み込む様に抱き締めた。
「随分と我が儘ですね」
静かなバリトンの声が心地好く耳に入り込む。
「ひっ……勘違い…しないでよっ。寂しい時に抱っこするクマちゃんのかわり……なんだからっ」
「……くま」
野村は、目を丸くした。
あんたとは較べ物にならない、ワイルドで格好いい大人の男よっ」
「そうですか」
「そうですか、じゃないわよ!嘘でも食い下がって来なさいよね!
……女が襲われたショックで目の前で泣いてるのよ!?」
「……恋人さんに慰めてもらえば解決するのでは」
あぐりは絶句すると、激しく肩を震わせる。野村は長い睫毛の瞳を一瞬揺らし、彼女へと手を伸ばすが、また戻した。
「……いくら恋人でも……遠いもの……叫んだって……あの人には……私の声は届かないも…の…ひっ……く」
野村が大判バスタオルを差し出すと、あぐりは鼻水をずずっと啜り睨み付けた。
「何故そんな怖い顔をするんですか」
「だからっ!気が利かない男ね!慰めなさいよ!」
「付け込むのはNGなのではないですか?」
「時と場合によるのよ!」
「はあ……」
あぐりはタオルに顔を埋め、消え入りそうに呟いた。
「……お願…今だけ…っ」
震える華奢な身体を、野村は包み込む様に抱き締めた。
「随分と我が儘ですね」
静かなバリトンの声が心地好く耳に入り込む。
「ひっ……勘違い…しないでよっ。寂しい時に抱っこするクマちゃんのかわり……なんだからっ」
「……くま」
野村は、目を丸くした。

