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Love adventure
第37章 惑わすBEAT⑤
チン、という音と共に扉が開く。
750号室のドアを開けて中へ入ると、稲川はあぐりを天蓋付きのベッドまで運んでおろし靴を脱がした。
あぐりは心臓を鳴らしながら部屋を見渡す。
大きなベッドには、メルヘンチックな花を散らした薄布が天蓋から垂らされている。
反対側の壁には大きな鏡があり、靴を脱がされている自分が映し出されていてドキリとした。
稲川も靴を脱ぎ自らもベッドに上がる。
あぐりは思わず後ずさった。
「今日のライブ、つまらなかったの?」
「えっ」
「ずっと棒立ちで居たから、楽しんで貰おうと思って色んなアピールしたんだぜ?」
「……!」
「そしたら最後泣いて出てっちゃうしさあ。しまいには外で喧嘩してるし……びっくりだよ」
「あ……あの、ピック……取られてしまって…取り返そうとして……」
稲川の顔が突然険しくなり、大きな声で怒鳴られた。
「馬鹿っ!そんな事で危ない事をするな!もっと大きな怪我でもしたらどうするんだ!」
鋭い声にビクリとして、たちまち涙が溢れてしまい、あぐりがしゃくり上げると、幾分か優しい声で言われる。
「……せっかく楽しみに来たのに、つまらないじゃんか……ね?」
「稲川さんにはわからないっ」
あぐりは、大きな声で怒鳴ってしまった。
「――?」
「ライブで会えたって、終わっちゃったらもうサヨナラだもん……
今度はいつ会えるかわからないもん……
だから……大事に取って置きたかったんだからあ……」
子供みたいにしゃくり上げながら喚くあぐりを、稲川は戸惑う様に見ていたが、その目が柔らかく歪み、あぐりを抱き締めた。
750号室のドアを開けて中へ入ると、稲川はあぐりを天蓋付きのベッドまで運んでおろし靴を脱がした。
あぐりは心臓を鳴らしながら部屋を見渡す。
大きなベッドには、メルヘンチックな花を散らした薄布が天蓋から垂らされている。
反対側の壁には大きな鏡があり、靴を脱がされている自分が映し出されていてドキリとした。
稲川も靴を脱ぎ自らもベッドに上がる。
あぐりは思わず後ずさった。
「今日のライブ、つまらなかったの?」
「えっ」
「ずっと棒立ちで居たから、楽しんで貰おうと思って色んなアピールしたんだぜ?」
「……!」
「そしたら最後泣いて出てっちゃうしさあ。しまいには外で喧嘩してるし……びっくりだよ」
「あ……あの、ピック……取られてしまって…取り返そうとして……」
稲川の顔が突然険しくなり、大きな声で怒鳴られた。
「馬鹿っ!そんな事で危ない事をするな!もっと大きな怪我でもしたらどうするんだ!」
鋭い声にビクリとして、たちまち涙が溢れてしまい、あぐりがしゃくり上げると、幾分か優しい声で言われる。
「……せっかく楽しみに来たのに、つまらないじゃんか……ね?」
「稲川さんにはわからないっ」
あぐりは、大きな声で怒鳴ってしまった。
「――?」
「ライブで会えたって、終わっちゃったらもうサヨナラだもん……
今度はいつ会えるかわからないもん……
だから……大事に取って置きたかったんだからあ……」
子供みたいにしゃくり上げながら喚くあぐりを、稲川は戸惑う様に見ていたが、その目が柔らかく歪み、あぐりを抱き締めた。