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Love adventure
第38章 星の瞬きよりも ①
『俺だ。起きてるか?入るぞ』

 西本は、ほなみと至近距離で顔を近付けたまま、一瞬顔をしかめて舌打ちした。

「……ちっ。綾波の奴……空気読めよな……」

 頭をそっとコツン、とされ、ほなみの心臓が激しく鳴る。
 西本は溜め息を吐いてほなみから離れた。

「残念……けど、これからいくらでも出来るからいいか。
 ……いや、本当は良くないけどね」
「もう……」
 
 ほなみは笑いながら、胸が痛む。

 (いつまでこうしていられるのだろう……)

 綾波がリビングにズカズカと入って来た。

「……おはようございます」

 ほなみは綾波に珈琲を出す。

「おう」

 綾波は鼻をクンクンさせた。

「ん?何だこの匂い……」
「クロワッサン焼いたんです。よかったらどうぞ」

 皿に乗せて持って行くと、無愛想な目がいつになく爛々と輝いた。

「こ、これは……!」
「ほなみのパン、めちゃくちゃ美味いぞ!」

 西本がほなみの肩をグイと抱き寄せて得意げな顔をする。

「何故お前がドヤ顔をしている?」
「だって俺の彼女だも――ん。自慢だもんね――っ!
 羨ましいだろっ?羨ましがってもこの幸せはお前にはやらないよ――っだ」

 子供みたいにはしゃぐ西本を綾波は呆れ顔で見て、パンをハムハム食べ――目を見開く。

「……!!」

 何回も頷きながら、皿の上のクロワッサンを全部平らげ、満足げに珈琲を啜っている。

「……相当気に入ったみたいだな。綾波も、こう見えて甘いもんとかパンとか大好きなんだぜ」

 西本は、ほなみに耳打ちした。

「そうなんだ……」



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