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Love adventure
第39章 星の瞬きよりも ②
 この間、智也の寝顔を初めて見たが、こんな風に安らいだりあたたかい気持ちになる事はない。
 だからといって、智也の事が嫌いというわけではないが……
 タイミングさえ合っていたら、こんな風に他の男性に心を奪われる事もなかったのだろうか――?

「……もう少しで着きますよ」
「あっ……はい」

 運転手に言われ、ほなみはモヤモヤと拡がりかけた思考に蓋をする。
 そう、今日は初デートなのだ。
 楽しむ事だけを考えよう……。


**





 既に陽は傾き、空が鮮やかな真紅に染まっていた。
 開場まで三十分を切っているが、一万二千人の客達の期待に満ちたざわめきが、ここまで聴こえて来るようだった。
 若いスタッフにバックステージパスを渡され迷路の様な廊下を暫し歩き、楽屋の前まで案内される。

『BEATS稲川様』と貼紙が張られているドアをスタッフがノックした。

「西本さん、いらっしゃいました」

 二、三秒の間が開いて低い声で返事が返ってくる。

「はい……どうぞ」

 緊張して顔が強張るほなみを笑いながら、西本はドアを開けた。



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