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Love adventure
第39章 星の瞬きよりも ②
 楽屋の奥でステージ衣装に着替えた稲川が鏡から振り返り、魅力的な笑みを向けた。

「久しぶりだね。西君」
「ソールドアウトおめでとうございます。流石ですね」

 稲川は、テレビやステージで見るよりも小柄で、しかし筋肉質な腕がノースリーブからのぞく。
 均整の取れたプロポーションと優しげな中に時折垣間見える鋭い目は三十七歳には見えない。
 稲川の目がちらり、とこちらに向き、ほなみの心臓がドクンと撥ねた。

「俺の大事な人です」

 西本はほなみの肩を抱き、涼やかな声ではっきりと言った。
 大事な人――という言葉に嬉しさで舞い上がりそうになりながら、ほなみは稲川にペこりとお辞儀した。

「は、初めまして……岸ほなみと申します」
「ハハハ……可愛らしい人だ。そんなに固くならないでね?
 ……泣かされたらいつでも相談しておいで?ほなみさん」

 白い歯を覗かせて笑った表情はチャーミングで、ほなみはドキリとした。
 流石、人気のロックスターのかっこよさだ。
 あぐりも連れて来たかったな……と心底思った。





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