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Love adventure
第39章 星の瞬きよりも ②
稲川は、ひとしきり笑ってふと真顔になる。
「……憧れの魔法は、いつか醒めるよ」
「えっ?」
「今は、大好きな音楽の魔法にかかっているから幸福で他に何も見えないけど、ミュージシャンも所詮一人の人間だからね。
欠点や現実が一つ一つわかっていく度に魔法は解けていく……」
稲川はほなみに視線を向けながら、何処か遠くを見ていた。
哀しみの様な諦めのような、でも達観し切れていないような複雑な色の瞳だった。
「どういう意味だよ!いくら稲川さんでも怒るよ!」
西本が声を荒げる。
「そのままの意味だ……ほなみさんが好きかい?」
「当たり前だ!」
西本は、稲川に一歩詰めより怒鳴るが、稲川は顔色を変えない。
「君はまず、ひとりのミュージシャンとして突き抜けるべきだ。
恋に溺れて自分を見失うなよ……
一時は良くても魔法の効き目は短くて、人生は長いんだ」
「俺は!俺は……やってみせる!
クレッシェンドをもっと大きなバンドにしてみせる!
ほなみの事も離さない!一生続く魔法があっても良いじゃないか!」
彼のまっすぐな言葉に、ほなみの胸も目の奥もジンと熱くなる。
今にもつかみかかりそうな勢いの背中に、ほなみはそっとしがみついた。
「……ほなみ」
西本は、背中から回されたほなみの手をギュッと握った。
「……憧れの魔法は、いつか醒めるよ」
「えっ?」
「今は、大好きな音楽の魔法にかかっているから幸福で他に何も見えないけど、ミュージシャンも所詮一人の人間だからね。
欠点や現実が一つ一つわかっていく度に魔法は解けていく……」
稲川はほなみに視線を向けながら、何処か遠くを見ていた。
哀しみの様な諦めのような、でも達観し切れていないような複雑な色の瞳だった。
「どういう意味だよ!いくら稲川さんでも怒るよ!」
西本が声を荒げる。
「そのままの意味だ……ほなみさんが好きかい?」
「当たり前だ!」
西本は、稲川に一歩詰めより怒鳴るが、稲川は顔色を変えない。
「君はまず、ひとりのミュージシャンとして突き抜けるべきだ。
恋に溺れて自分を見失うなよ……
一時は良くても魔法の効き目は短くて、人生は長いんだ」
「俺は!俺は……やってみせる!
クレッシェンドをもっと大きなバンドにしてみせる!
ほなみの事も離さない!一生続く魔法があっても良いじゃないか!」
彼のまっすぐな言葉に、ほなみの胸も目の奥もジンと熱くなる。
今にもつかみかかりそうな勢いの背中に、ほなみはそっとしがみついた。
「……ほなみ」
西本は、背中から回されたほなみの手をギュッと握った。