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Love adventure
第44章 焼けるように愛しい
「毎日本物と一緒に居るのに、こんなの見てたの?」
「うん……だって、いつまでこうしていれるか分からないし」
ほなみは笑っているが、その表情には陰りがある。
あぐりには、その心情が良く分かるような気がした。
リビングに珈琲の薫りが漂うと、そんな感傷よりも食欲の方が勝り、あぐりはスコーンの袋を開けた。
「いただきま――す」
ふたり一斉に頬張る。たちまちほなみは顔を綻ばせた。
「……美味しい!」
「でしょ?でしょ?」
「丁度いい甘さ……これ、どうやったら作れるかなあ」
頭の中でレシピを考えているのだろうか。
真剣な目でスコーンを睨むほなみに、あぐりは切り出した。
「あのね……今日、マンション周辺で怪しい車を見かけてさ」
「えっ?」
「多分うちらを見張ってるんだと思う……」
ほなみの目が曇っていく。
「――智也が怪しんで誰かを使ってって事?」
「芸能記者かなと思ったけど……車に乗ってたの、中野さんだった。
ほら、あの用務員の」
ほなみの手からカップが落ちて、ガチャンと音を立てた。
「ああ、拭くから」
あぐりはタオルで手早く処理するが、ほなみの顔が青くなっている。
「――私、東京に行く前日に会社に顔出したの……
中野さんにも会ったわ」
「東京に行くって言ったの?」
ほなみは首を振った。
「うん……だって、いつまでこうしていれるか分からないし」
ほなみは笑っているが、その表情には陰りがある。
あぐりには、その心情が良く分かるような気がした。
リビングに珈琲の薫りが漂うと、そんな感傷よりも食欲の方が勝り、あぐりはスコーンの袋を開けた。
「いただきま――す」
ふたり一斉に頬張る。たちまちほなみは顔を綻ばせた。
「……美味しい!」
「でしょ?でしょ?」
「丁度いい甘さ……これ、どうやったら作れるかなあ」
頭の中でレシピを考えているのだろうか。
真剣な目でスコーンを睨むほなみに、あぐりは切り出した。
「あのね……今日、マンション周辺で怪しい車を見かけてさ」
「えっ?」
「多分うちらを見張ってるんだと思う……」
ほなみの目が曇っていく。
「――智也が怪しんで誰かを使ってって事?」
「芸能記者かなと思ったけど……車に乗ってたの、中野さんだった。
ほら、あの用務員の」
ほなみの手からカップが落ちて、ガチャンと音を立てた。
「ああ、拭くから」
あぐりはタオルで手早く処理するが、ほなみの顔が青くなっている。
「――私、東京に行く前日に会社に顔出したの……
中野さんにも会ったわ」
「東京に行くって言ったの?」
ほなみは首を振った。