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Love adventure
第44章 焼けるように愛しい
あぐりはキッと唇を結び、意を決して電話に出た。
「――はいいっ!こちら吉岡!」
『……随分と張り切ってるな……そっちは夜中……いやまだ九時位か』
「うん!そうだよ?!パリは昼間かしら!?」
『……変わりないか?』
――ギクッ。
あぐりの頬が引き攣る。
「うん。チョー楽しいわよ!アハハ」
ほなみが青ざめて見守る横で、あぐりは懸命に明るさを装い受け答えをするが、掌には冷や汗をかいていた。
『……どうした?』
ビクッと、あぐりの唇が震える。
「んん?な、何がっ?あんたが私の事気にするなんて百五十年に一度位なレアじゃないのっ?
まさかのまさか、私の毒舌トークが恋しかったりして――!?
て、な――んちゃって☆そんなわけ、無いわよね――!アッハッハ!」
ほなみも背中に嫌な汗をかきながら、会話を聞いていた。
『……まあ、そうかもな』
「あらそう……て……えっ……えええ?はあああ――!?」
『柄に無く……少し弱気になってるようだ』
智也が弱々しく笑いを零すのが聞こえた。