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第44章 焼けるように愛しい

「ど――したのよ！あんたこそ何かあったの？」
『……見たんだ』
「――見た？」
『日本の新聞の記事の写真……ほなみがクレッシェンドの西本祐樹の横で映ってる……』
「――――――！！」

　あぐりは目を白黒させてほなみを見ると、ほなみは唇を噛み俯く。

『記事には――恋人同士じゃないかって……書かれていた』
「な、な、何処でそれみっけたの？」
『――ツイッターで流れてきた』

(――は―ん。嘘ね)

　あぐりは、智也の僅かな口調の変化を感じ取り、深呼吸してから、ここぞとばかりに女優ばりの演技を仕掛けた。

「あっはっは！
　あれね、写ってないけど私も隣に居るから！」
『……本当か？』
「勿論！」

　電話の向こうから、智也の大きな溜息が聞こえた。

『――吉岡』
「うん？」
『信用してるからな』

　あぐりの額から汗が一筋流れた。

「うん！どーんと任せなさい！」
『……ほなみを、よろしくな』

　電話はそこで切れて、同時にあぐりの極限まで達した緊張も切れた。