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第45章 トロイメライは夢見心地で

「……今日のも美味かったぞ」

　綾波はボソリと呟くと、その言葉に驚愕するほなみに大きな紙袋を突き出した。

「シャワーを浴びてこれに着替えて支度しろ。
　いいか、お前はクレッシェンドのサポートメンバーとして今からプロデューサーに挨拶に行くんだ」
「へっ……て……ええええええーーっ?」
「お前は新聞にも顔が出てしまったし、旦那にも怪しまれている。
　どこまで誤魔化せるかわからんが、バンド関係者という事になれば一緒に出かけたりしても不思議じゃないだろう？とりあえず、それで通せ」
「とりあえず……て」
「BEATSライブで演奏されたあの曲をシングルで出す。発売に先駆けて音楽番組『ミュージックスタイル』への出演を決めたぞ」
「み、ミュージックスタイル――！？あ、あのヤモリさん司会の！？」
「それと服飾ブランド『K・I』のイメージモデル。
　日比谷野音でのBEATSとの共演ライブも決めた」
「…………」

　ほなみは、あまりの急展開に頭が付いていかなくて、口が半開きのままでいた。