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第46章 　ぶつかり合う予感

「……お前そんな顔で挨拶するなよ？」

　ほなみは無理やり口角をあげてみたが、ミラー越しに綾波に笑われた。

「祐樹も側にいるし、あぐりや皆も居るんだ。普段のお前らしくしてればいい」
「そう言われてもっ」
「志村さんは、気取る女が嫌いだ。素直な女に好感を持つ。下手に飾らず、素の自分で行け」
「素の……私って」

　綾波はまた、くつくつ笑う。

「しょっちゅう転んだり泣いたり拗ねたりしたかと思えばすぐにカッとなって祐樹を殴ったりするのがお前だろ」
「ちょっ……そんなに酷くありません！」
「ハハハハ」
「――っ」

　今日の綾波は、笑い顔をよく見せる。
　ドキドキしているのを隠すように、ほなみは外の景色を眺めた。