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Love adventure
第48章 毒が廻って……
――そう言えば、新入社員で一人やたらと目立つ賑やかな男がいた……
オリエーテーションの自己紹介の時に『特技は……ヤモリさんの物真似です!』
と、物真似をしながら自己紹介をやり切ったのだ。
(――あいつか)
その時にはさほど気にも留めずにいた。だが、中野から、奴がやたらとほなみにちょっかいを出している、という事を聞き、智也は村田を警戒し始めた。
そして、ある日中野に耳打ちされた。
「村田君が……今夜、ほなみさんを誘って食事に行くそうです」
「――!」
社長室で書類に目を通しながら聞いていたが、動転して書類の束を床に落としてしまった。
中野は、智也の代わりに紙を拾い集めて事も無げに言った。
「智也さんは、今夜は社長と一緒に大切な取引先との打ち合わせを兼ねた食事会でしたよね。ほなみさんは、私が見張って置きますので……ご安心を……
また、報告しますから」
「……そうか……」
智也は沸き上がる嫉妬を感じながらその拳を握り締め、丸まって書類を拾う中野の背中を見つめた。
「そんな心配をしなくても……智也さんに敵う男など、そうそう居ませんよ……」
中野は笑うが、智也はこめかみを指で押さえて首を振る。
「いや……俺には、良く分からない……
ほなみの気持ちも……つかめていない様な気がするのに……」
「でも、誰にも渡したくないのなら、奴がもし調子に乗る様なら……
潰すしかありませんよ?……今までも、そうして来たじゃないですか」
中野は、目尻を下げて人の良い顔をしながら、冷酷な事を言う。
智也は、席を立ち中庭を眺めながら、爪を噛んだ。
オリエーテーションの自己紹介の時に『特技は……ヤモリさんの物真似です!』
と、物真似をしながら自己紹介をやり切ったのだ。
(――あいつか)
その時にはさほど気にも留めずにいた。だが、中野から、奴がやたらとほなみにちょっかいを出している、という事を聞き、智也は村田を警戒し始めた。
そして、ある日中野に耳打ちされた。
「村田君が……今夜、ほなみさんを誘って食事に行くそうです」
「――!」
社長室で書類に目を通しながら聞いていたが、動転して書類の束を床に落としてしまった。
中野は、智也の代わりに紙を拾い集めて事も無げに言った。
「智也さんは、今夜は社長と一緒に大切な取引先との打ち合わせを兼ねた食事会でしたよね。ほなみさんは、私が見張って置きますので……ご安心を……
また、報告しますから」
「……そうか……」
智也は沸き上がる嫉妬を感じながらその拳を握り締め、丸まって書類を拾う中野の背中を見つめた。
「そんな心配をしなくても……智也さんに敵う男など、そうそう居ませんよ……」
中野は笑うが、智也はこめかみを指で押さえて首を振る。
「いや……俺には、良く分からない……
ほなみの気持ちも……つかめていない様な気がするのに……」
「でも、誰にも渡したくないのなら、奴がもし調子に乗る様なら……
潰すしかありませんよ?……今までも、そうして来たじゃないですか」
中野は、目尻を下げて人の良い顔をしながら、冷酷な事を言う。
智也は、席を立ち中庭を眺めながら、爪を噛んだ。