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Love adventure
第5章 変わったのは
『こんにちは。私は変わりないです。風邪などに気をつけてください』

 なんてそっけない文、と思いながら送信する。
 彼は、広いマンションでひとり妻が毎日どう過ごしているかなど、興味もないのだろう。

 (私だってそうだ)

 交際を申し込まれた時、好きな異性もいなかったし、当時すでに岸の家に身を寄せていた自分は"立場的に断るわけにはいかない"と思った。
 頭が良くハンサムな智也はもてた。周りの女子から羨ましがられたけれど、自分は特に彼を好きだったわけではないのかも知れない。
 智也はいつも優しかった。好きだとか愛している、という甘い言葉を言われた覚えはないが、誕生日には花を買ってきてくれた。
 彼に抱かれるのは嫌いではなかったが、行為の後一緒に眠る事はなかった。
 終わると智也は一人でシャワーを浴びて、「お疲れ様。お休み」と、別の部屋に寝に行く。
 智也以外の男は知らないし、それが当たり前なのだと思っていた。だから、あぐりから恋人とのセックスの話を聞いた時に、大きな衝撃を受けた。


「今の彼氏、しつこいから面倒なの」
「何が?」
「終わった後、"もう一度やろう"てさ」

 ――嘘でしょ、と喉まで出かかった。

「あーー男って何歳まで性欲あるの?面倒……早く枯れて欲しいんだけど」

 冗談ではなく、あぐりは本当に面倒そうだった。

「うん……そ、そうだよね」

 ほなみは適当に相槌を打つ。その後も、黒いストッキングを履いて来ないと彼氏が怒るとか、時間が長くて腰がもたないとか、色々と愚痴を聞かされた。
 表面上はわかったようになずいておいたが、あぐりのぶっちゃけ話の一つ一つがほなみにとっては信じられない事ばかりだった。
 世の中の恋人どうしって、皆そんな風なの?
 セックスは体力を消耗するし、そんな事ばかりにかまけていたら怠惰な人間になってしまう。俺たちにはそんな暇はないよーーと、智也はいつも涼しい顔で言っているのに。
 自信たっぷりに言う彼に、多少疑念もおぼえつつも、それほどまでにしたいとも思わないほなみは敢えて反論をしようとも思わなかった。
 智也は、つまり、世間で言うところの"淡泊"に当てはまる……のだろうか?
 ほなみは、唐突に、西本祐樹にとのキスを思い出し身震いした。
 今でも感触が思い出せる。熱くて、湿っていて、甘くて、蕩けそうでーー





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