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Love adventure
第48章 毒が廻って……
一週間後、智也は村田を誘い出した。
行きつけの懐石料理の個室で向かい合い、酒を注いだが村田は手を付けようとせず、緊張からなのか表情がかたい。
智也は上目遣いで彼を眺めながら冷酒を口に含む。
「――上司に勧められているのに、乾杯も出来ないのか?」
「……い、いえ、そんな事は……頂きます」
村田は少し青ざめていたが、覚悟を決めた様に酒を一気に飲んだ。
「今日は随分と大人しいんだな……いつもの元気はどうしたんだ?」
探る様に静かに語りかけるが、村田は頬をひきつらせ曖昧に笑った。
智也は、酒を呑みながら村田を頭の先から爪先まで眺め、値踏みをしていた――
(どうやら、今夜の誘いは只の酒の席だとは、奴も思っていない様子だが……
俺という恋人が居ると知りながら、ほなみを下心たっぷりに誘っておいて、このビビりようは……
随分と情けない男だ……
こんな奴は、潰すにも足らないが……)
智也は村田の肩を抱きかかえ、親しげに顔を寄せて微笑んだが、村田は身体中を震わせる。
「君は……口も達者だし、舞台度胸もある様だし……
それに留学の経験もあるとか。
……スポーツマンで背も高くて、向こうじゃさぞモテただろう?」
村田は、ひきつりながら、小さく笑い首を振る。
「い、いえ……とんでもない」
智也は彼の肩を指先でトントン叩きながら、ゆっくりと言った。
「留学の経験を生かして――
海外での……例えばフランス支社での仕事をする事も視野に入れているそうだね……?」
「は……はい」
村田の額に、汗が滲んでいる。
行きつけの懐石料理の個室で向かい合い、酒を注いだが村田は手を付けようとせず、緊張からなのか表情がかたい。
智也は上目遣いで彼を眺めながら冷酒を口に含む。
「――上司に勧められているのに、乾杯も出来ないのか?」
「……い、いえ、そんな事は……頂きます」
村田は少し青ざめていたが、覚悟を決めた様に酒を一気に飲んだ。
「今日は随分と大人しいんだな……いつもの元気はどうしたんだ?」
探る様に静かに語りかけるが、村田は頬をひきつらせ曖昧に笑った。
智也は、酒を呑みながら村田を頭の先から爪先まで眺め、値踏みをしていた――
(どうやら、今夜の誘いは只の酒の席だとは、奴も思っていない様子だが……
俺という恋人が居ると知りながら、ほなみを下心たっぷりに誘っておいて、このビビりようは……
随分と情けない男だ……
こんな奴は、潰すにも足らないが……)
智也は村田の肩を抱きかかえ、親しげに顔を寄せて微笑んだが、村田は身体中を震わせる。
「君は……口も達者だし、舞台度胸もある様だし……
それに留学の経験もあるとか。
……スポーツマンで背も高くて、向こうじゃさぞモテただろう?」
村田は、ひきつりながら、小さく笑い首を振る。
「い、いえ……とんでもない」
智也は彼の肩を指先でトントン叩きながら、ゆっくりと言った。
「留学の経験を生かして――
海外での……例えばフランス支社での仕事をする事も視野に入れているそうだね……?」
「は……はい」
村田の額に、汗が滲んでいる。