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Love adventure
第48章 毒が廻って……
唇や頬や指まで震わす村田を見ていた智也の胸の中に、突如どす黒い怒りが生まれる。
村田の耳を乱暴に引っ張ると、小さな声で、だかはっきりとこう言ってやる。
「ほなみの頬は……柔らかかったか」
村田の顔が蒼白になった。
智也は村田を離すと、上着のポケットからライターを取り出して妖しく笑う。
逃げようとするる村田にじりじりと近付き、壁側に追い詰めると、襟元をつかみ、目の前でライターを灯した。
「――とっ……智也さ」
「黙れ……」
智也が少しずつ火を村田の顔に近付けていく。
村田は泣きそうになりながら首を小さく振った。
「ほなみは……俺の婚約者だ……それを知って尚、君が横入りする理由はなんなんだ?
納得する様に説明して欲しいんだが……
え?村田君……」
「ひっ……ヒイッ……ゆ、許して下さ……っ!
もう、ほなみちゃんには近寄りませ……ぐっ」
智也の膝が、村田の鳩尾に入り、彼が呻いた。
「気安く呼ぶな――!」
智也は村田に馬乗りになり、ライターを更に顔に近付けて凄んだ。
「……ほなみに触れた……その唇を……
焼ききってやろうか、ええ――!?」
「ひ……ヒイイ――!止めて下……許して下さい――!」
「黙れ――!」
智也がまさに、村田を焼こうとしたその時、突然襖が開いた。
現れた中野が、素早く智也の腕からライターをはたき落とした。
「……智也さん、その辺で」
中野はニコニコしながら、呆然とする村田に向き直り、彼の乱れた服を直してやった。
「まあ、君もこれで分かったろう……無事にこの会社に居たいなら、ほなみさんには近付かない事だよ。
……それと、下手な事を言わない方がいいね……
君がほなみさんに触れている処を写真に撮らせて貰っている。
セクハラで君を訴えることもできるからね?
……未来の社長婦人に手を出した、てね……ふふ」