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Love adventure
第49章  危険なknight
 大きな紙袋を下げてほなみが入って来た。
 春らしい色のブラウスに長いスカート姿で、髪を二つに結わえていた。
 スプリングコートを脱いだ時、眩しい白いうなじがのぞく。
 綾波は見ないように目を逸らした。

「……西君のマンションから割と近いんですね」

 ほなみは、何だか楽しそうにキョロキョロして居る。

「お前一人か」

 紙袋から何やらガサゴソ出しながら、後ろを向いてほなみは答えた。

「あぐり、急に熱を出してしまって……薬を飲んで寝ています……ケトル借りますね?」

 ほなみはケトルに水を入れ火にかけてから、綾波をじっと見た。

「何だ」
「……本当に、病院に居なくて大丈夫だったんですか?」
「ほんのかすり傷だ。猫に引っ掛かれたような物だからな」
「……早く犯人、捕まって欲しいです……怖い」

 声を震わせたほなみが近寄ってきて、綾波は思わず身構えた。

「包帯、替えましょう」
「いや、自分で出来る」

 そう言いながら僅かに痛みで顔を歪ませる綾波を見て、ほなみは強引にシャツを脱がしてきた。
 いつもは綾波が脅かしているのに、今日は逆のようだ。
 内心狼狽しながら、ほなみのするのに任せ、細い指先が包帯を剥がしていくのをじっと見つめた。
  ほなみは真剣な目付きだった。
 綾波の均整の取れた上半身が露になるが、恥じらう様子はない。
 怪我人の手当てと切り替えているのだろうか。
 髪から甘い香りが伝わり、綾波は少々頭がクラリと来そうだった。



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