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第49章 　危険なknight

｢綾波さんはここに一人で？｣
｢ああ｣

　三広が泊まりに来る事が多いがそれは言わないでおいた。

｢こんな広いお部屋で……寂しくなる事、ないですか？｣

　いつもなら、こんな風に踏み込まれると多少腹が立つが、何故か今日はその言葉が胸に響いた。
　綾波は、無意識に彼女の小さな手をつかんでいた。
　ほなみがびっくりしたのが手の震えでわかる。
　ほなみは上目遣いで綾波を見あげ、唇が何かを言いかけたが、彼が被せるように

　｢おい、湯が沸いてるぞ｣
　と声をかけると、離れて慌てて火を消しに行った。

　綾波は、ひとり小さく息を吐いて胸を撫で下ろすが、ほなみがキッチンで明るい声を出す。

｢良かったら食べて下さい｣

　いつの間にか、テーブルに白い皿に盛り付けられたクロワッサンやキッシュが並べられている。
　綾波は思わず感嘆の声を上げた。

｢おお……｣

　珈琲が淹れられ、香ばしい薫りがリビングに広がる。

｢ちゃんと食べないと元気になれませんよ｣

　ほなみは綾波の手を引っ張り、強引に椅子に座らせた。