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Love adventure
第49章  危険なknight
 長い時間をかけて唇を犯すと、涙を溢すほなみの結わえられた髪をほどき、薫りを嗅いだ。

「……お前がこうして拒めないのも、この顔のせいだろう……
 俺は……自分の顔が大嫌いだ」
「……綾波さん?」
「祐樹の母親は、双子を産むのが夢だったらしい……だが双子は産まれず兄弟も出来なかった……だから似た顔の子供を金に物を言わせて探し回り、俺を養子にしたのさ。
 けれど、俺は祐樹と全く性格が違う……両親は俺を愛せなかったし、俺は祐樹の母親を、ひとりの女としてしか、見れなかった……」

 綾波の目が暗い色で沈む。
 ほなみは組伏せられたまま、その目をじっと見た。

「それを自覚してから、もう家族のフリをするのが馬鹿馬鹿しくなったんだ……
 高校生の時に、家を出たいと話したら、『そんなの許さない、理由を言いなさい』
と言われた……
 だから押し倒してやったんだ……」

 ほなみが息を呑む。

「本当はそんな事をしたくなかった……けれど止められなかった」

 目を閉じると、今でも彼女の悲痛な叫びと泣き顔が頭に過る。

『剛さん……!祐ちゃんと同じ顔をしてそんな事を――!』





「母親は誰にもその事を言わなかった……祐樹もこの話は知らん。
 まあ、そう言う訳で俺は家を出て今でもあの両親とは会っていないのさ……
 俺の身の上話はそんなところだ。つまらんだろう?」
「……ひっ」

 肩を震わせて、ほなみが泣いていた。
 綾波は戸惑いながら、その涙を指で拭う。

「お前が何故泣く?」
「だって……家族が居なくなる悲しさもわかるし……好きな人と離れる悲しい気持ちも……わかり……ます」

 綾波は盛大に溜め息を吐くとほなみの頬をギュンとつねった。

「痛いっ」

 ほなみが叫ぶ。

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