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第53章 　you　are　mine

　ドアを開け、急いで靴を脱ぎながらあぐりを呼ぶが返事がない。

｢あぐり……？｣

　リビングには居ない。何か料理した痕跡があるという事は、少なくともちゃんと食事は取っていたのだろうか。
　少しホッとした。

｢そうだ……寝てるのかな｣

　寝室の方へ向かうが、西本に止められる。

｢男物の靴があったよ？……野村、かな……｣
｢えっ｣
｢あいつは……夜ラジオ収録だった筈だけど……
　新潟からすっ飛んで来たんかな……｣
｢じゃあ……今入って行ったらお邪魔よね｣

　西本はクスクス笑った。

｢この間の時と逆だな。あの時は俺達の声を皆に聞かせてたんだぜ？｣

　か――っと、ほなみの頬が熱くなる。