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Love adventure
第7章 禁断の萌芽
――君は冬の国のプリンセス
白い結晶のドレスが似合う女の子
それなのに
君は とても 寒がりなんだ
僕は 王子でも 何者でもないけれど
君を 暖める 柔らかな羽毛も あげられないけれど
この手の温もりは君のもの――
聴いた事のないバラードだった。甘やかで切なく耳に残るメロディー。クレッシェンドの曲に似ているような気もするけれど、彼らの曲とは違う。
目を閉じて、その曲に聴き入っていたが、突然、西本に耳打ちされ叫びそうになる。
「……いい曲でしょ?」
西本はほなみの手を握り囁く。
「……う、うん。すごく素敵」
どぎまぎしながらステージの方を向いていたが、ほなみの意識は彼に握られている左手に集中していた。
「当たり前だよ。俺が作った曲だし」
「……えっ!」
「こいつら、すげえ下手くそだけど、がむしゃらに頑張ってて、俺らのデビューする前を見てるみたいだ。……何かしてやりたくなったんだよ。これからどうなるかは、こいつら次第だけどな」
彼の目がキラキラして見えるのは照明のせいだけではないような気がした。
本当に音楽に真剣なのが伝わってくる。
ステージで演奏して歌っている時の姿。
楽屋で初めて言葉を交わした時の紳士的な物腰。
強引に抱き締めてきて、ほなみの唇を奪った彼が、ふと見せた冷たい眼差し。
なのに今日ここで会った西本祐樹は、まるで聞き分けのない少年みたいだ。
そして今、音楽を心底から愛しているミュージシャンとして隣に居る――
「じっと見つめて何?惚れた?」
西本が、小さく笑ってほなみの左手に素早くキスした。
「ちょっ……こんな所で……」
ほなみは慌てるが、周囲の人々はステージに注目していて、ふたりの事を気にする様子はない。それを良いことに、西本はほなみの手をつかみ引き寄せた。
「……誰も居ない所ならいいの?」
「えっ!?」
西本は、裏の楽屋に通じる狭い通路にほなみを連れ込む。
通路の幅は1メートル程しかなく、ふたりは間近で見つめ合う格好になった。
白い結晶のドレスが似合う女の子
それなのに
君は とても 寒がりなんだ
僕は 王子でも 何者でもないけれど
君を 暖める 柔らかな羽毛も あげられないけれど
この手の温もりは君のもの――
聴いた事のないバラードだった。甘やかで切なく耳に残るメロディー。クレッシェンドの曲に似ているような気もするけれど、彼らの曲とは違う。
目を閉じて、その曲に聴き入っていたが、突然、西本に耳打ちされ叫びそうになる。
「……いい曲でしょ?」
西本はほなみの手を握り囁く。
「……う、うん。すごく素敵」
どぎまぎしながらステージの方を向いていたが、ほなみの意識は彼に握られている左手に集中していた。
「当たり前だよ。俺が作った曲だし」
「……えっ!」
「こいつら、すげえ下手くそだけど、がむしゃらに頑張ってて、俺らのデビューする前を見てるみたいだ。……何かしてやりたくなったんだよ。これからどうなるかは、こいつら次第だけどな」
彼の目がキラキラして見えるのは照明のせいだけではないような気がした。
本当に音楽に真剣なのが伝わってくる。
ステージで演奏して歌っている時の姿。
楽屋で初めて言葉を交わした時の紳士的な物腰。
強引に抱き締めてきて、ほなみの唇を奪った彼が、ふと見せた冷たい眼差し。
なのに今日ここで会った西本祐樹は、まるで聞き分けのない少年みたいだ。
そして今、音楽を心底から愛しているミュージシャンとして隣に居る――
「じっと見つめて何?惚れた?」
西本が、小さく笑ってほなみの左手に素早くキスした。
「ちょっ……こんな所で……」
ほなみは慌てるが、周囲の人々はステージに注目していて、ふたりの事を気にする様子はない。それを良いことに、西本はほなみの手をつかみ引き寄せた。
「……誰も居ない所ならいいの?」
「えっ!?」
西本は、裏の楽屋に通じる狭い通路にほなみを連れ込む。
通路の幅は1メートル程しかなく、ふたりは間近で見つめ合う格好になった。