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Love adventure
第7章 禁断の萌芽
西本は両の掌を壁に突いて、ほなみを身動きができないようにする。
壁一枚隔てた向こうは、ライブホール。
星の王子のバラードは、最高潮の聴かせどころに入ったようだ。
ハスキーなボーカルの声が、切なげに、西本の作ったメロディーをなぞる。
――冬が終わり 新しい 季節が訪れても
冬と春は 出会う事はなく、すれ違って行く
君と僕の明日はあるの?
答えはない 答えてはくれない
誰も教えてはくれない――
彼の瞳がゆらゆらと揺れている様に見えるのは、ミラーボールが回っているせいなのだろうか。
見とれていたら、熱い唇でキスされる。
昨日のような乱暴なキスではなく、慈しむように優しい触れ方だった。
西本は唇を離すと、ほなみの額に、自分の額を軽くぶつけた。
「……痛」
何も痛くはないが、つい口から出てしまう。
「俺の事、嫌い?」
彼はほなみの肩に顔を埋めた。
その声が、思いがけず気弱に聞こえドキリとした。
――好き――と言ってしまいそうになるのを懸命に押し止める。
「……どの西君が、本当の西君なの?昨夜は、マジでサイテー野郎だったからね?」
ほなみは、わざと冷たく言ってそっぽを向いてみる。
正面から彼を見つめたりしたら、想いが溢れ出して気持ちが見透かされてしまうから――
「えっ……そんなに酷かった!?ゴメン」
自覚がないなら、尚、たちが悪い。
西本祐樹のパブリックなイメージは、紳士なのかも知れないが、中身はとんでもないプレイボーイだ。
「サインをもらいに行ったのに、何故あんな事になるのよ?意味がわからない!」
そっぽを向いたままの、ほなみの結わえられた髪に西本がそっと口付ける。
すると、ほなみがテレビで初めて聞いて衝撃を受けた、あの曲の前奏が聴こえてきた。
『今日のスペシャルゲストには、人気バンド"クレッシェンド"をお迎えしています!
拍手で、ボーカルの西本君を呼びましょう!』
浜田がマイクで叫んでいる。
壁一枚隔てた向こうは、ライブホール。
星の王子のバラードは、最高潮の聴かせどころに入ったようだ。
ハスキーなボーカルの声が、切なげに、西本の作ったメロディーをなぞる。
――冬が終わり 新しい 季節が訪れても
冬と春は 出会う事はなく、すれ違って行く
君と僕の明日はあるの?
答えはない 答えてはくれない
誰も教えてはくれない――
彼の瞳がゆらゆらと揺れている様に見えるのは、ミラーボールが回っているせいなのだろうか。
見とれていたら、熱い唇でキスされる。
昨日のような乱暴なキスではなく、慈しむように優しい触れ方だった。
西本は唇を離すと、ほなみの額に、自分の額を軽くぶつけた。
「……痛」
何も痛くはないが、つい口から出てしまう。
「俺の事、嫌い?」
彼はほなみの肩に顔を埋めた。
その声が、思いがけず気弱に聞こえドキリとした。
――好き――と言ってしまいそうになるのを懸命に押し止める。
「……どの西君が、本当の西君なの?昨夜は、マジでサイテー野郎だったからね?」
ほなみは、わざと冷たく言ってそっぽを向いてみる。
正面から彼を見つめたりしたら、想いが溢れ出して気持ちが見透かされてしまうから――
「えっ……そんなに酷かった!?ゴメン」
自覚がないなら、尚、たちが悪い。
西本祐樹のパブリックなイメージは、紳士なのかも知れないが、中身はとんでもないプレイボーイだ。
「サインをもらいに行ったのに、何故あんな事になるのよ?意味がわからない!」
そっぽを向いたままの、ほなみの結わえられた髪に西本がそっと口付ける。
すると、ほなみがテレビで初めて聞いて衝撃を受けた、あの曲の前奏が聴こえてきた。
『今日のスペシャルゲストには、人気バンド"クレッシェンド"をお迎えしています!
拍手で、ボーカルの西本君を呼びましょう!』
浜田がマイクで叫んでいる。