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第58章 jealousyの果て

『妻を誘惑して……情交の様子を電話で聴かせて来たのはそっちだろう……っ……どうだ……反対に聴かされる気分は……？』

　智也が、西本の苦しげな表情を見ているかのように、嘲笑った。

『あ、あああ――っ』

　西本は耐えきれずギュッと目を瞑った。
　綾波が横からドスの効いた声で話す。

｢夫婦だろうが何だろうが、これは立派な誘拐だ……貴方は自分のしている事がわかっているのか！｣
『……ほなみの意思を確かめてみようか？……ほなみ……俺を好きか……』
『と、もや……っ……好きっ……』

　クスリの作用で意識が昔に飛んだほなみは譫言の様に呟く。

｢――！｣

　衝撃を受けた綾波はスマホを落としそうになる。

『……さて……俺たちは、一晩じゅうゆっくり愛しあう事にする……
　来週の……仕事の顔合わせが楽しみだな……？クレッシェンドさん……ふふふ』

　電話が唐突に切れた。