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第59章 奪還作戦

　智也が出掛けた隙に浸入するつもりだったが、もはや悠長に構えてなどいられない。
　奴と出くわしたとしても、力ずくで連れ戻す覚悟だ。
　綾波は、浜田から預かったレーダーを手に非常階段を駆けあがる。

（――最上階からしらみ潰しに探してやる！）

　空気は凍てつき、空はまだ暗く星が輝いている。
　走っているうちに鼓動が早まり身体も熱くなってきた。
　一気に上まで駆けあがると、驚異の体力の綾波でも流石に息切れする。

｢……はあっ…………さて、行くか…｣

　非常階段の手摺につかまり身体を折り、何秒間かで息を整えると、重い扉を開け最上階の廊下へ踏み出した。
　浜田の機械がほなみの居場所を知らせてくれる事を信じて――