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Love adventure
第8章 冷たい雪、熱い吐息
西本が真由を抱き締めたのを見た時、重い鉛を胸の奥へ投げ込まれた様に苦しくなる。
ほなみは、その場から動けずふたりを見つめていた。
どれ程時間が経ったのか。数秒間だったのかもしれないが、とてつもなく長い時間に感じられた。
西本は真由の頭をポンポンたたき、彼女から離れると、階段を降りて来た――
咄嗟に逃げようとしたが足がもつれて靴が脱げ、へたり込んでしまう。
彼に見つかったほなみは、気まずくて下を向いた。
「……何してんの?」
西本が、無邪気な笑顔で手を差しのべて来るが、ほなみは払いのけた。
「触らないで!」
鋭く言い放つほなみに、彼が目を丸くする。
――何をうかれていたんだろう。西君はミュージシャンで、沢山の若くて可愛い女の子が寄って来る。私はその中の一人にも入らない位の存在なんだ。からかわれているだけ――
「あんな若い子を弄ばないほうがいいですよ?」
「は?何言ってるんだよ」
「未成年だし……遊ぶなら大人の物分かりの良い人にしたらどうですか?」
大きな声が出てしまい、自分でも困惑し、口を手で押さえた。
西本が真顔になる。
いたたまれなくて、脱げた靴を履き階段を足早に駆け降りると、彼が追いかけて来る。
callingを飛び出し表通りを走ったが、赤信号を飛び出そうとしてクラクションを鳴らされる。
追いついた彼に後ろから抱き締められた。
人の往来が激しく、ほなみ達は注目を浴びている。
「は……離して」
「嫌だ!」
「からかうのは止めて!」
「からかってない」
信号が青に変わると、無我夢中で腕を振り解き、早足で渡る。
西本もほなみの隣を歩く。
足が長い彼にはすぐに追いつかれ先回りをされてしまう。道を渡った途端、腕をつかまれ、通り沿いのシャッターが閉まった店の壁側に体を押し付けられた。
両腕をしっかりつかまれたままで身動きできないほなみは、彼と目を合わせないようにそっぽを向いた。
ほなみは、その場から動けずふたりを見つめていた。
どれ程時間が経ったのか。数秒間だったのかもしれないが、とてつもなく長い時間に感じられた。
西本は真由の頭をポンポンたたき、彼女から離れると、階段を降りて来た――
咄嗟に逃げようとしたが足がもつれて靴が脱げ、へたり込んでしまう。
彼に見つかったほなみは、気まずくて下を向いた。
「……何してんの?」
西本が、無邪気な笑顔で手を差しのべて来るが、ほなみは払いのけた。
「触らないで!」
鋭く言い放つほなみに、彼が目を丸くする。
――何をうかれていたんだろう。西君はミュージシャンで、沢山の若くて可愛い女の子が寄って来る。私はその中の一人にも入らない位の存在なんだ。からかわれているだけ――
「あんな若い子を弄ばないほうがいいですよ?」
「は?何言ってるんだよ」
「未成年だし……遊ぶなら大人の物分かりの良い人にしたらどうですか?」
大きな声が出てしまい、自分でも困惑し、口を手で押さえた。
西本が真顔になる。
いたたまれなくて、脱げた靴を履き階段を足早に駆け降りると、彼が追いかけて来る。
callingを飛び出し表通りを走ったが、赤信号を飛び出そうとしてクラクションを鳴らされる。
追いついた彼に後ろから抱き締められた。
人の往来が激しく、ほなみ達は注目を浴びている。
「は……離して」
「嫌だ!」
「からかうのは止めて!」
「からかってない」
信号が青に変わると、無我夢中で腕を振り解き、早足で渡る。
西本もほなみの隣を歩く。
足が長い彼にはすぐに追いつかれ先回りをされてしまう。道を渡った途端、腕をつかまれ、通り沿いのシャッターが閉まった店の壁側に体を押し付けられた。
両腕をしっかりつかまれたままで身動きできないほなみは、彼と目を合わせないようにそっぽを向いた。