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Love adventure
第65章 捕まえて、蕩けさせて
 目が合ってしまった時、音の無い火花がふたりの間に散る。
 彼の熱い唇がほなみの唇を塞いだ。

「……っ」

 ほなみは、彼の唇の熱と舌の動きに痺れ、麻痺した様に動けずにいた。
 それでも時折理性を取り戻し、腕を必死に動かし離れようと試みるが、綾波がそれを許す筈もなく、唇への甘い責めはほなみをがんじがらめにする。
 強く抱きすくめられたまま、西本祐樹のマンションに到着するまでキスは続いた。

「到着しました」
 
 運転手の一声で、やっと綾波の唇から解放される。

「……はあっ……」

 息がやっと自由に出来る。
 ほなみはドキドキしすぎて泣きそうになっていた。
 そんなほなみの頭をグリンと撫で、綾波は顔を逸らした。

「すまん……今度やりそうになったらぶん殴れ。
 ……いや、むしろ今殴れ。なんなら蹴飛ばしてもいいぞ」
「えっ……」
「殴れ」

 ほなみは遠慮がちに頬を叩くと、ぴしゃりと彼に叱られる。

「なんだそのやる気のないビンタは。思いきりやれ!」

 今度は目をつむり拳で頬をパンチすると、確実な手応えがあった。
 綾波はシートに沈み動かない。

「す、すいません……思ったより力が入ってしまいました」

 綾波はクックッと笑いだしたかと思うと身を起こし、強引にほなみを車から降ろし、両頬を引っ張った。

「い――痛い!」
「……いいパンチだ」

 優しい目に、ほなみはドキリとした。
 笑って髪をクシャクシャにされ、ほなみは複雑な心境だったが思わずつられて頬をゆるめる。
 ふと頭上から視線を感じて見上げると、西本が窓を開けてこちらを鋭い目で見つめていた。
 ほなみの心臓がビクリと跳ねた。

「さて、奴がお待ちかねだ……行くぞ」

 綾波は、ほなみの手を引いてエントランスへ入った。



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