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第66章 Marry　Me①

　ライブをする度に完売し、最初は200人規模だった会場が倍以上のキャパになった。
　ツアーのチケットは５分で完売するまでになり、ファイナルは武道館で開催しよう、という企画が現実になろうとしていた。
　あぐりと出会ったのはその頃だった。
　その日のライブを最後に、大きなホール会場中心に公演するという事が決定していた。
　バンドにとって、大きな節目だった。
　もう、客の一人一人の顔が見えるライブハウスではやれなくなるのかと思うと感慨深いものがあった。
　売れない頃は、小さな箱も埋まらなかったのに。
　これからはホールだろうがアリーナだろうが、大きな会場に負けないようなパフォーマンスをしなくてはならない。
　気が引き締まると同時に、今日のライブは会場にいる客の顔を出来るだけ焼き付けようと心に決めた。