パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第69章 Marry　Me④

　指を名残惜しそうにほどき、なるべく音を立てないようにそっとベッドから降りる。
　無造作に脱ぎ捨てられた彼の上着を拾いハンガーに掛けようとした時、内ポケットからヒラリと小さな紙切れと、紐つきの小物のような物が落ちる。
　小物は、手作りの御守りだった。
　一緒に落ちた紙を拾い上げると、晴れ着姿の小さな女の子が、はにかんだ笑顔をこちらに向けていた。
　一生懸命に書いたのだろう。
　幼い文字が記してある。

『ぱぱへ。つあーがんばってね』



　それを、また内ポケットに大事に仕舞うと、あぐりは服を着て、自分のバッグから白い封筒を出し、眠る稲川の枕元に置いた。