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Love adventure
第69章 Marry Me④

窓を開けると、白みはじめた空の色が見えた。
朝の冷気が頬に刺さる。
新聞配達のスクーターがきびきびと走っている。
ランニングをするフードを被った男性の姿がある。
あと一時間もすれば皆起き出し、それぞれの行くべき場所――仕事場であったり、故郷へ向かったり。
あるいは家族を送り出したりするのだろう。
それぞれの帰る場所、するべき事は皆違うが、自分の役割があるという事は面倒でもあるが、同時に幸福なのではないか、とあぐりは思う。
その人にしか出来ない役割。
それは、生きる理由やアイデンティティーにもなり得る。
だがそれを見つけらぬまま大人になってしまう人だっている。
あぐりは、眼下に広がる見知らぬ街並みや、知らぬ人々を眺めながら唇を噛んだ。
――私は、何の為に、今まで生きてきたの?
恋に夢中で、恋だけを追い掛けて……恋に一喜一憂して……
それで、思い出以外の何が、残ったんだろう――
ぼんやりと外を眺めていたら何処か遠くで犬が吠えた。
それが何かの合図かの様に、あぐりは窓を閉めた。
朝の冷気が頬に刺さる。
新聞配達のスクーターがきびきびと走っている。
ランニングをするフードを被った男性の姿がある。
あと一時間もすれば皆起き出し、それぞれの行くべき場所――仕事場であったり、故郷へ向かったり。
あるいは家族を送り出したりするのだろう。
それぞれの帰る場所、するべき事は皆違うが、自分の役割があるという事は面倒でもあるが、同時に幸福なのではないか、とあぐりは思う。
その人にしか出来ない役割。
それは、生きる理由やアイデンティティーにもなり得る。
だがそれを見つけらぬまま大人になってしまう人だっている。
あぐりは、眼下に広がる見知らぬ街並みや、知らぬ人々を眺めながら唇を噛んだ。
――私は、何の為に、今まで生きてきたの?
恋に夢中で、恋だけを追い掛けて……恋に一喜一憂して……
それで、思い出以外の何が、残ったんだろう――
ぼんやりと外を眺めていたら何処か遠くで犬が吠えた。
それが何かの合図かの様に、あぐりは窓を閉めた。

