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Love adventure
第10章 光と影と痛み
「……そういえば両親は"何かあったら岸君のご両親を頼りなさい"と言ってました……」
「岸の両親か。連絡してみるから待っていなさい」
教頭が慌てて電話をしに出て行ったきり戻ってこないまま時間は過ぎた。
急に辺りが暗くなり、窓の外を見ると、晴れていた空に真っ暗な雲が急速に広がりザーッと激しい雨が窓を打ち付け始め、ゴロゴロと不穏な音が轟き遠い空で稲妻が光る。
ほなみは雷の音から耳を塞ぎ、ひたすら床の一点を見つめ、不安と恐怖に耐えた。
雷はもともと好きではなかったが、いつもは雷が鳴っても家には父か母が居て賑やかで、気に留めた事がない。
一人で病院の白い壁や廊下に囲まれながら聞く轟音は、ただただ心にダメージを負わす。
ほなみは、目をきつく閉じ、椅子の上で丸くうずくまった。
――これは何かの夢であって欲しい。そう、きっと夢。
私は今、いつも通り家で布団に包まっているんだ……
「ほなみ、いい加減に起きなさい!」
母に布団を引っぺがされて無理矢理起こされる。
「お母さん、乱暴すぎるよ……」
愚痴をこぼしながらも朝食の匂いに空腹を刺激され、欠伸をしながら食卓につく。
新聞を読んでいた父に「ちゃんと顔を洗いなさい」と叱られる。
「食べてからやるもーん」
ほなみが皿に乗っているプチトマトを摘まむのを見て、父は眉を下げ母と顔を見合わせる。
「しょうがないなあ。中学生になって女の子らしくなると思っていたのに、これじゃあお嫁さんに行くのはまだまだ無理だな」
「お父さん何言ってるの?!私、まだまだお嫁になんか行きたくないよ?!」
母と父が笑い、ほなみもつられて笑う。
(―― そう、私は夢から目覚めて、いつものこんな風景に出会うはず――)
「お願い……早く目覚めさせて……」
「岸の両親か。連絡してみるから待っていなさい」
教頭が慌てて電話をしに出て行ったきり戻ってこないまま時間は過ぎた。
急に辺りが暗くなり、窓の外を見ると、晴れていた空に真っ暗な雲が急速に広がりザーッと激しい雨が窓を打ち付け始め、ゴロゴロと不穏な音が轟き遠い空で稲妻が光る。
ほなみは雷の音から耳を塞ぎ、ひたすら床の一点を見つめ、不安と恐怖に耐えた。
雷はもともと好きではなかったが、いつもは雷が鳴っても家には父か母が居て賑やかで、気に留めた事がない。
一人で病院の白い壁や廊下に囲まれながら聞く轟音は、ただただ心にダメージを負わす。
ほなみは、目をきつく閉じ、椅子の上で丸くうずくまった。
――これは何かの夢であって欲しい。そう、きっと夢。
私は今、いつも通り家で布団に包まっているんだ……
「ほなみ、いい加減に起きなさい!」
母に布団を引っぺがされて無理矢理起こされる。
「お母さん、乱暴すぎるよ……」
愚痴をこぼしながらも朝食の匂いに空腹を刺激され、欠伸をしながら食卓につく。
新聞を読んでいた父に「ちゃんと顔を洗いなさい」と叱られる。
「食べてからやるもーん」
ほなみが皿に乗っているプチトマトを摘まむのを見て、父は眉を下げ母と顔を見合わせる。
「しょうがないなあ。中学生になって女の子らしくなると思っていたのに、これじゃあお嫁さんに行くのはまだまだ無理だな」
「お父さん何言ってるの?!私、まだまだお嫁になんか行きたくないよ?!」
母と父が笑い、ほなみもつられて笑う。
(―― そう、私は夢から目覚めて、いつものこんな風景に出会うはず――)
「お願い……早く目覚めさせて……」