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Love adventure
第83章 Love adventure 
「あのさ……皆も、好きな人とか大事な人が居るなら、素直になって欲しいんだ」
 
 西本は、ほなみの手を握って会場に向かって語り始めた。

「意地なんて張ってたら……時間はあっという間に過ぎていく。
 今を逃したら"好きだよ"って言えなくなるかもしれない……
 そんな悲しい後悔、して欲しくないんだ」

 西本は、ほなみと見つめ合うと、会場に顔を向け、凛とした声で叫んだ。

「よし!今からドーム記念のスペシャルタイム!
 せっかくこうして素敵なサプライズをして貰った御礼だよ!
 皆も、好きな人とキスしてください!
 今から十分間ね?
 カップルの人は勿論、片想いの人は気持ちを伝えるチャーンス!
 ……あっ、勿論、無理矢理とか痴漢は絶対ダメだからね!
 もし恋愛として好きな人じゃなくても、友情のキスでも素敵じゃない?
 ……皆、なんか凄くびっくりしてる、ていうか引いてる――?
 引いてる暇なんかないよ!
 さあ、キスして!
 俺たちみたいに!」

 西本は、ほなみの腰を抱き寄せて熱烈に口付けた。

「んっ……西く……はっ……あんっ」
「……ほなみ……好きだよ……」

 五万人プラス大勢のスタッフが見守る中、ふたりはゴンドラの上で何度も口付けを交わし、しまいには倒れ込んで見えなくなってしまった。
 口笛があちこちで鳴り、次第にキスをし合うリップ音でドームの中が満たされる。
 男と女、男と男。
 女の友人同士でも笑い合いながら抱き合い頬にキスをし合う光景。

「うわあ……スゴい」

 顔を真っ赤にして廻りを見るカナの顎を不意に智也は掴み、あっという間に唇を奪った。
 そして予想通り、カナは白目を剥いて倒れた。
 メンバーもあっけに取られその有り様を見ていたが、亮介は三広と顔を見合せ、ニタッと笑うと額を思いきりぶつけた。

「て――っ!何すんだ――!」

 ふたりがステージの上でじゃれ合うのを綾波と浜田は笑って見ている。
 そんな中、野村は意を決したように唇を結ぶと楽器を置き、走り出した。


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