この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Love adventure
第12章 伝えたいのに
 彼の瞳は、猛々しい色と悲しい色で混ざり合い、潤んでいた。

(――違う。嫌じゃない。貴方に全身で烈しく愛されて嬉しい――)

 と、言いたくて仕方がないのに、胸に重い物がのしかかっているようで、彼に言葉をかける事が出来ずに、ほなみはただ黙って見つめた。

「……だからそんな目で見るなって」

 彼は唇を歪め、ほなみを押さえ付ける腕に力を込め、耳や首筋に舌を這わせ始めた。

「……待っ……」

 愛された余韻で痺れていた身体に再び触れられ、ほなみの中は熱を帯び始める。

「好きだ……ひと目見た時から……」

 西本は、その言葉を口にすると同時に、猛々しいほどの感情のうねりが胸の中にあるのに戸惑う。
 優しく包みたい。いや、壊れるまで抱き締めたい。
 いいだろう?だって、ほなみも俺に惹かれているんじゃないのか?
 初めて逢ったあの夜、俺を見つめるほなみの瞳は、キラキラ輝いていた。
 俺を恋へと誘(いざな)うようにーー
 俺はまんまと罠にかかった。
 後戻りできないほどに、ほなみに焦がれてしまった。
 なのに、何故そんなに辛そうに泣く?
 
「好きだ……好きなんだよ」

 告白というよりは、まるで何かを懇願するような、すがるような声で彼はほなみの手を握り締め、指先に口付けた。 
 ほなみは、やはり何も言えず、涙を流し続ける。

 ――その言葉を、今でなく、もっと前に聞けていたのなら……
 そう、できるなら時間を今すぐに巻き戻したい……
 智也の物になる前に、貴方に出逢えていたら……

「なんとか……言えよ」

 彼の瞳が狂暴な光を帯び、乳房をつかみ、巧みに弄び始めた。
 ほなみは仰け反り、彼の髪を思わずかきむしる。

「あ……だ、だめ……また……」
「……ほなみは俺が好きじゃないんだろう?」

 泣きそうな声で言われ、ほなみは、否定の意味で首を振るが、彼は今にも泣き出しそうに見えた。

「俺が勝手に惚れて……強引に抱いただけだ……ほなみが望んだわけじゃない!」
「西く……ちが」


――あなたが好き――という言葉を飲み込む。こんなに恋しくて、求めているのに言えない。
 智也と結婚しているという現実が、こんな時にも頭から離れない。



/814ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ