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Love adventure
第14章 夫の帰国①
 ――何故、クレッシェンドのメンバーがこんな所に居るの?
 西君が大変な時なのに。
 ……もしかしたら私との事が知れているのかも。私のせいで西君が右手を怪我したのも――

 ほなみは、思わず唇を噛んだ。

「……元気だった?」

 三広が少し首を傾げた時、前髪がさらっと揺れて形の良い額と眉が一瞬顕れる。
 ほなみが触ってみると、彼は目を大きく見開いて固まった。

「この間西君とぶつかったところ、もう痛まない?」

 あの時、髪の生え際辺りが切れて血が滲んでいたような気がするが、もう瘡蓋になっている。

「ここ、いじったらダメだからね?」

 彼は、顔を何故か真っ赤にして黙り込み目を逸らした。

「三広君?」

 声を掛けると、こちらを向いたが、目を合わせたかと思うと又、物凄い勢いでそっぽを向く。

「気分でも悪い……?」
 
 ほなみは彼の顔を覗きこむ。

「うわーっ!」

 彼は耳まで真っ赤になって叫んだ。

「……て……ゴメン……心配してくれたのに……これはつまり、その、えっと……」

 目を丸くするほなみに、三広がオドオドと釈明していると、バタバタと賑やかな足音が聞こえてくる。
 振り向くと、長い足で軽やかに走る亮介、その後ろには、ハアハアしながら付いて来る浜田の姿があった。

「ほなみちゃん。ちょっと久しぶりだね。三広が驚かしてごめんね?」

 亮介は爽やかに笑いかけると三広の首を片手でしめた。

「み、つ、ひ、ろ!何やってんだお前!端から見たら不審者だぞ?」
「ぐえっ」

 三広は白目を剥いている。
 ほなみはハラハラしたが、亮介は『全く問題ない』と言いたげな表情で、こめかみを
『ぐりぐり』やり始め、三広は悲鳴を上げる。
 浜田はゼイゼイ息を切らしながら眼鏡を取り額の汗を拭った。
 ほなみがハンカチを差し出すと、笑顔で受け取った。

「ありがとう!ほなみちゃん、会えてよかったよ!『散歩で通りかかるかな?』
て思って気にしてたんだけどね。
 あの日は無理に手伝い頼んで悪かったねえ。これ、少しだけどバイト賃だよ!」




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