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ジェミニの檻
第7章 声を聴かせて
左右に屋台が並び真ん中は人が犇いていた。

「っ!す、いませ…」

志貴は人波に呑まれ掛けている六花にため息混じりに足を止めた。

「志貴」

「ノロい」

手を握ると人波を縫う様に志貴は歩き出した。

花火の見える土手に並んで座り込む。

「凄え人…なんか買ってくる」

「あ、私が!」

「ちゃんと戻って来れるの?」

これだけの人出と目標のない場所。

志貴は鼻で笑うとさっさと歩いて行ってしまった。

花火が上がる7時半まであと15分。

六花は巾着からスマホを取り出した。

そこにはメールが来ている、由岐からだった。

''思ったより早く着きそう、お祭り行くなら、部活の奴らも連れてっていい?''

由岐は自分と二人きりになりたくないのだろうか。

由岐の家に行ってからもう一ヶ月以上経っている。

由岐のキス、体温を思い出すのは自分だけ?

部活の奴らということは梢もなのだろうか。

六花は膝を抱えて、返事を出来ずにいた。

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