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寝取られ彼女。
第6章 Seno Kouki
「亜衣、騙されるな。そいつらの中に、好きな男はいるか?」
「っ、ひっく…いる訳ないっ…」
「じゃあ…はっきり言うぞ。そいつらは亜衣のこと、好きとも何とも思ってない。「好き」って言われてたとしても信じるな。絶対信じるな。亜衣のことを本当に好きならそんなこと出来ない。絶対に出来ないから」
亜衣が俺に伝えたかったのは
「離れてまで絶ちたかった男達との肉体関係」
「モノのように扱われ、ひたすら中に出され続けるのが嫌で仕方がない」
「3人共自分の欲を満たすことだけが目的で快楽を感じない」
「喘ぐ演技ももう限界、心が死にそう」
「もうやめたい、楽になりたい」
ということ…
…ショックだった。
亜衣が
俺の亜衣が
ずっと悩んでいたなんて。
何で気付いてやれなかった
笑顔に違和感感じてたろ
何でもっとちゃんと聞いてやらなかったんだ
亜衣はこんなにも
泣くほど悩んでいたのに。
「…亜衣」
今はこの子を
「迎えに行く…今から迎えに行く」
抱き締めたい。
「迎えに来てっ…」
通話状態にしたままマンションを飛び出し、車に乗り込んでアクセルを踏む。
隣の大都市…軽く1時間はかかるかもしれない。
だけど今は、行くしかない。
信号で止まっている時、通話状態にしたままのスマホを手に取り、スピーカーにしておいた。
…この時。
スピーカーにするのがもう少し早ければ、亜衣の
「昂ちゃん…、あたし、昂ちゃんの事好きだぁ…」
という言葉を、聞くことが出来たのに。
亜衣の住むアパートの近くに車を停め、アパートに向かうと、出てきた亜衣が俺を捉えて駆け寄ってきて。
そのまま抱き着いてきたのを受け止めた。
「ふぅう…!…っく、ん…うぅぅ…っ」
俺にぎゅうっとしがみつく亜衣の背中を撫でながら、通話終了ボタンを押す。
泣き続ける亜衣の身体は、小さくて。
柔らかくて、温かくて。
…離したくない。
この、愛しい温もりを。
そして。