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奴隷 裕美子
第4章 奴隷調教の軌跡
この調教記録の最初に書いたとおり、裕美子からもう一度会いたいという連絡が来たのは、それから三ヶ月後のことだった。長かったと言えば長かったが、それだけ裕美子の葛藤も深かったということだろう。

「どうか裕美子を奴隷でいさせてください。どんな命令にも従います。きっと良い奴隷になりますから。そばにいたい・・・」

ショットバーの床に手をついて涙を流しながら裕美子が吐いたこのセリフ。職場の人間が聞いたら自分の耳を疑うに違いない。「連中の見ている前で奴隷扱いして見せてやるのも面白いな」俺はもうそんなことまで想像していた。

床に正座した裕美子の姿に、さすがにそのままでは騒ぎになりそうな雰囲気になってきた店を出てタクシーを拾う。

「中野へ」

言葉は発しないが、裕美子は一瞬身体をビクッとさせた。中野は裕美子が独り暮らしをしているマンションのある街。俺は裕美子の部屋を、奴隷となった裕美子への最初の調教の場所に選んだ。日常を一人で過ごす自分の部屋、自分だけの自由なはずの空間も、これからの裕美子には奴隷調教を受ける場所の一つでしかない。そのことを教え、奴隷には奴隷でない日も時間も、そして場所もないことを裕美子に叩き込むためだ。その効果を狙って、これまで何度逢瀬を重ねても、裕美子の部屋を訪れることは避けてきた。

「わたしの部屋に行くのですか」

女の独り暮らし。男を部屋に入れるなら、本来前もってしておきたかったことも当然あるのだろう。だがそんな甘えが許されることはない。

「ああそうだ。何か困ることでもあるのか」

「・・いぇ。そんなことはありません。でも・・恥ずかしぃ・・・」

「俺に調教されることを想ってぐっしょり濡らした下着が脱ぎ捨てたままにでもなってるんだろう」

わざと運転手にも聞こえるような声で裕美子をいたぶる。調教される奴隷には、タクシーでの移動中も休息はない。

「・・そんな・・」

裕美子はかぶりをふりながら耳まで赤く染めて俯く。恥ずかしさに、顔を上げていられないのだろう。
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