パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第8章 魔性の女に貢ぐ男たち Ⅱ

(やっぱり春日君…私の態度…気にしてたんだ…ちょっと意地悪し過ぎたかな…？)

｢えぇーそうだったぁ？全然そんなことないよぅ。多分、疲れちゃってたんだと思う。だって…だってね…あんなに朝までたくさんしちゃったの久しぶりだったから…。最後はチェックアウトしようと、外にでる準備してからでしょう…ビックリしちゃったぁ…。｣

私は周囲のテーブルを気にしながら、小声で白々しく言った。帰り際にツンデレな態度を取ったのは確かだ。別に気分を害したためではない。あくまで、春日君が私に対して、興味をより深く心に刻んだか反応を見るためだった。

｢デートして春日君に対して気分を害してたら、今日また逢ったりしないでしょう？｣

｢でも、僕がもっと早く逢いたくて、散々LINEやメールで、誘ってたのに、愛姫さん、LINEのメッセージ『既読』のままの時があったりしたし、なかなかメールの返信が来ない時があったから…。｣

｢ごめんねぇ。私まだまだ初心者だから、春日君にいろいろ批評してもらうとすぐに、そっちが気になってしまって…。｣

｢まあ…そうですよねぇ…。毎日神経戦ですからね。よかった…僕、てっきり逢うの避けられてたかと…。｣

｢変に勘違いさせちゃってごめんなさい。私、今日だって楽しみにして来たから。｣

春日君に安堵の表情が甦った。私たちは、春日君の話をほぼ一方的に私が聞く形で、食事を進めた。春日君は得意な話題になるとマシンガントークになる癖がある。やがてデザートもコーヒーも済ませ、私たちはお店を後にした。春日君は食事が終わる頃から、だをだんソワソワしだしていた。もちろん何を考えているのか、私はすべて見通していた。それでも、私は特に気に留めるそぶりも見せずに、駅の方向に向かって歩き出した。ヒートアイランド現象で日が落ちても、空気は梅雨明け前で蒸していた。

｢お店から出ると、この季節は地獄ね。｣

私は当たり前すぎて、話題にもならないような、気象の話をした。