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愛姫のあぶない投資性活
第8章 魔性の女に貢ぐ男たち Ⅱ
私は足速に駅へと雑踏をすり抜けるように歩く。春日君は仕方なく私の後について歩調を合わせる。駅前まで来て、大きな交差点で赤信号待ちになった。

「愛姫さん…あの…。」

「なあに?」

春日君が私の手を握ってきた。一応、私も握り返してあげる。手を振り払うような意地悪は止めた。

「今日はもう…これで…?これから何か用事でもあるんですか?」

「なんにもないけど…あっ!春日君…。ホ・テ・ル・に行きたいのぉ?」

「今日はダメですか?」

「えっ?どうしよう?」

私はわざと彼の心を焦らした。信号が青に変わり、群衆が動き出す。その時、

「なにも用事がないなら、いきましょう!」

春日君が群衆の動きに逆らって、私の手を引いた。私は、ちょっと春日君が可哀相になって、この辺で、素直になってあげようと思い。春日君の腕に寄り添って手を繋いであげた。

「優しくしてね…。」

私は春日君に囁きかけた。

「はい…もちろんです。無理にすみません…。僕…我慢できなくて…。」

私たちは、もと来た道を辿って繁華街を抜けて、ホテル街へと歩いて行った。

前回来たホテルに、春日君は躊躇なく私を連れて行き、入り組んで、入口が目隠しになっている自動ドアをくぐった。

フロント前のパネルはすべて照明が消えて満室だった。

「そう言えば、入口のネオンの下のも赤いランプで、満室の表示だったわねぇ…。」

「どうしましょうか?」

「今日は土曜日だからどこに行っても同じでしょう?仕方ないから待ちましょう?」

「いいですか?」

「うんっ。仕方ないもの。」

ウエイティングルームも満室だった。そもそもパーテーションで仕切らたウエイティングルームも、10組分くらいしかない。


「恥ずかしいけど、ウエイティングルームが空くまで、あそこに座って待ちましょう。」

私たちは、パネルの入室待ちボタンを押して、ウエイティングのチケットを取った。2桁の番号が印字されていたが、何組が入室待ちをしているのか?時間もどれくらい待たされるのか判らない。
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