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愛姫のあぶない投資性活
第8章 魔性の女に貢ぐ男たち Ⅱ
部屋の広さは、このラブホ街のホテルの中では広め。そもそもこのホテル自体がリニューアルして、昔の狭いベッドルームとユニットバスだけの簡素なものから、デザインを一新して高級感を売りにしていたから、すべてオシャレに作られていた。イメージは黒と白を基調にした壁紙で、関節照明だけにするとムーディーな雰囲気になるようにデザインされていた。関節照明のライトの数も多く、それぞれ明暗を微調整できるようにしてあった。やや大きめのソファーがベッド脇のスペースに置かれ、ガラステーブルもあり、ベッドの対面の60インチのテレビはベッドからもソファーからも見ることができ、ソファーではゆったり、飲食もできるようになっていた。

バスルームも広めで、バスタブは丸くて広く、ジャグジーも、ベッドルームと連動した、防水テレビも備え付けられ、ベッドルームとは腰の高さから上は全面ガラスで仕切られていた。空間全体を広く見せる工夫だ。

「選べなかったけど、結構いい部屋に当たりましたね。」

春日君はベッドサイドのパネルで照明をいろいろ試してみたり、有線のチャンネルを切り替えて選曲を変えてみたりして、遊んでいる。そして、バスルームもいろいろ点検して、

「お風呂にお湯汲みますか?」

と、尋ねてきた。

「せっかくだから、入りたいもんね。今日は湿度が高くて、たくさん汗かいちゃたし。」

私たちは、歯磨きをしてから、エアコンの冷房設定温度を低めにして、ソファーにすわり寛いだ。

「そうだ!愛姫さんにお願いされてた、これから期待できる銘柄のリストと、僕のデイトレードの先月の収支グラフを作って来たので、後で参考にしてください。」

春日君は『今』とは言わず、『後で』と言って、USBメモリーを私に手渡した。私はA4サイズのノートPCをいつでも持っていたから、その場で開くこともできたが、『後で』と言われた以上、時間的に余裕があっても、それはできなかった。

「僕は自分の取引記録やデータそれから、日経のCS放送や経済新聞の記事は、ネットに繋げていない、PCに打ち込んで整理してますから、セキュリティーは万全ですよ。」
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