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第1章 犬のように

ドーベルマンを散歩させながら
あんな性癖があったのか、と
溜息をついていた。



痛いのは嫌だから、報酬が大きくても
下手な男には抱かれたくないと
カラダは売っていなかったのに。


最近、副業と 遺産でとくに稼ぐ必要もなくなり
創作意欲が 湧かない俺を

刺激になるかもしれないからと
編集者が 、あちこちのいかがわしいスポットへ
連れ出そうとしていて
見つけてきた店のなかの ひとつで
俺たちは出逢った。


客も ホストも男限定の店で
見つけたカズは
まだ 夜の仕事に慣れておらず
高校生のように見えた。


おおっぴらには 書いていないが
時間単位のウリは させていないものの
ホストを一晩単位でなら
貸し切ることもできるシステムで

法外な値段のなかには もちろん
暗黙の了解が在る。


特上のカズは 未成年なので
貸し切ることは できないことになっていた。
それは、彼をスカウトする際の口約束だったのか
彼を 雇えば あと半年待つくらい安い、と
その後の 利益を考えたのか。。


それでも 男達の指名は、
新入りの カズに殺到しているらしい。


華奢なのに 柔らかみのある肌、体つき
美しい肌に 色素の薄い瞳。。




《どうせ退屈しのぎに行くのなら、
一度きりになるだろうし
面白いものを見たい。
金なら言い値で積むから
一番人気のホストを 指名しておけ。
その代わり ヘルプはつけるな、と
条件をつけろ》と 言っておいたことが

彼との 出逢いのきっかけになった。