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人間の交尾をしよう
第1章 それは記憶の中の話
「いい言葉やな」

 ははっ。
 漫画を広げたまま床の上に置く。
 天井を見上げて笑う無精髭の伸びた口元には、ちらちら燃える炎が挟んであった。
 肺の中に多く煙を取り込むたびに、赤い炎が燃える。
 カチャカチャと遠くで響いている足音のBGMつきで。

「そうやんな、交尾。それ、言えてる。ペスとリズもそれをしたわけやもんな」

 つるつるしたフローリングを室内でしか生活出来ないよう躾けられた飼い犬が歩くたび、爪と床板が当たって音がする。
 それは、けっこうなボリュームの不快音だった。

「確かに避妊って自然の摂理から言うと、おかしいことよな。セックスって本来は子作りのための手段やねんからさ。まして相手が直系血族又は三親等内の傍系血族はアカン、なんて、本能には関係ない話よな」

 わたしたちは、あの音が嫌いだった。
 二階のこの部屋にまで聞こえてくる、あの音が。
 時折、赤ちゃんが愚図ったような、高い声で鼻を鳴らす、あの音が。


「つまり、ペスはリズに本来の目的を持って交尾しただけ。要するに」

 だから、あの犬を可愛がっていたのは、あの犬を貰い受けた女だけだっただろう。

「発情期にたまたま見かけたメスが、たまたま自分の妹やった、ってだけのことやろ?」

 玄関が騒がしい。

「しゃあないよなぁ。自分の遺伝子を残したいっていう強い欲求はオスの本能やねんからな」

 階下から、あの女の声が聞こえてくる。


 今日は遠いとこわざわざごめんねぇ。
 仕事やったんちゃうの?
 あ、今日まで連休やったん?
 ならよかった、うちと一緒やねぇ。
 あ、そうそう。この子らが、生まれた子犬よ。
 ペスによお似てて可愛いでしょう?

「結論から言うと、Rが法事んときペスを連れてきたのが間違いやったんやろうな」

 ペスもよお来たねぇ!
 ほら、あんたの子供よー。フフ。
 え?ううん!そんなんは、しゃあないことやん!
 謝らんとってよー。目を離してたうちらも悪いねんから。
 それに犬やねんから、妹とかそんなん、ペスにはわからんもんねぇ?
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