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王子の甘い罠
第2章 子
「俺、会社の女の子とは誰一人付き合ってません」
「だから?」
「すみれさんのこと遊びじゃないんです」
「はぁ?」

話が見えないんですけど。

「マジでずっと憧れてました。
本を拾ったときにすみれさんのかなと見当は付けてました。
女性向けの官能小説だったし、うちの会社の女性で
そこまでのフランス語を操れるのは限られていますから」
「・・・・」

「まさかここまで過激な本だとは思いませんでしたが」

悪かったね!過激な官能小説を読み漁ってて!

「欲求不満なんですねぇ」

可哀想な人を見る目で見ないでくれる?

「俺が解消してあげようと思ったらいけないですか?」

何が解消よ!

「好きな女の欲求不満を俺が解消しちゃダメですかね?」

好き・・・だぁ?
エセ王子め!

そんな私の表情を見て、困ったように笑った王子は
「すみれさん。顔がひどいことになってますよ」
と、私の頬を撫でた。

「この本のようなセックスを試すために
俺を利用してくれて構いません。
俺は安全だと思いますよ。
過激な、といってもひどいことはしません。
なんたって職場がばれているんですから。
すみれさんにひどいことをしたら、俺は職場も失うことになります」
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