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禊(みそぎ)
第1章 慟哭
スーパーの駐車場は買い物客の車で溢れかえっていた。私は彼に車で待っててもらうように頼んで、足早に店内に入った。

出来合いの惣菜をいくつかカゴに入れ、彼にノンアルコールビールを選んだ。

帰りは車だしお酒を飲ませる訳にはいかない。

新鮮なお刺身もあったので、盛り合わせを一つ選んだ。

何だか今日は夕飯の買い物がいつもより楽しく感じた。久しぶりの感覚だった。

ほんの何時間か前に彼のマンションを訪ね、声をあげて泣きじゃくり、失意のドン底にいたはずなのに、不思議と今は嘘の様に気持ちが軽かった。

彼の胸の中で流した涙の分だけ、私の心は軽くなれたのかもしれない。

そして自分の中で覚悟を決めた清々しさが私を前向きな気持ちにさせるのだろう。

私はもう悩まないと決めた。

離婚してもらうのだ。
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