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作品集
第12章 平成28年4月度
共に考えましょう!

◆“ユーモア”はあらゆる外界のストレスから心身を守ってくれる頼もしい盾(たて)である。

こんな瞬間を経験したことはないだろうか。
失恋や受験や仕事の失敗などで落ち込んだときに、思いがけない出来事で思いっきり笑い、笑ったあとで
「あれ、さっきまでなんであんなに落ち込んでいたんだろう」と、一瞬、不幸を忘れてしまったことを。
笑ったあとの冷静な頭で考えれば、「あんなに悩むなんてバカバカしい」と思えることも多いものだ。
「笑い」の効用は、落ち込んだ原因をくよくよ何度も考える反芻(はんすう)作用を止められることにある。起こってしまったことは、もう決して消せないことであり、しかたがないことである。ところが、几帳面(きちょうめん)で自分に厳しい人ほど、悲しいとか悔しいといったマイナスの感情に拘泥(こうでい)して、何度も反芻することが多い。ときにはそれが、自己鍛錬となり、人格に磨きをかけるきっかけとなるだろう。けれども、あまり長い間落ち込んでいると、からだの免疫力が下がり、こっそり忍び寄ってきた病に襲いかかられたとき、太刀打ちできず、心身ともに状態が悪くなる可能性が高くなる。もしも、自分の意志の力で、つらいことや試練にくるりと背を向けることができないのならば、なにか別の手段を見つけて、悲劇にとりついている自分の心を引っぱりはがしたほうがいい。それには、面白い小説にでも没頭して、気分を切り替えて笑ってしまうのがいい。実際、ユーモアと前向きな精神で難病中の難病を治してしまった例もある。『死のふちからの生還』という本を書いたアメリカの『サンデーレビュー』誌の元編集長ノーマン・カズンズ氏は、激務の中で、不治の病と言われていた強直性脊椎炎という膠原病(こうげんびょう)を発病してしまう。ところが、病院に入院して闘病するうちに、コメディ映画を見たり、面白い本を読んだりしてよく笑ったあとは、回復不能と思われていたからだの痛みが二時間ほどなくなっていることに気づいた。
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