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作品集
第20章 平成28年12月1日
素晴らしいと思いました。

◆佐々木将人 著 の
「人生山河ここにあり」

東京のある学校の卒業式の1週間前に、一人の不良学生が校長に呼び出された。常日頃悪行を重ねていた学生は、叱られるのを覚悟して、校長室のドアを叩いた。「入れ」という威厳のある声と共に、「鍵をかけなさい」といって鍵を渡しながら校長は、自らカーテンを閉めた。
学生は逃げられないようにして殴られると観念した。「腰をかけ給え」といいながら、校長は、右に左にと歩きつつ、「お前のいたずらは有名であり、他の先生の手もやき…云々」と切り出した。
学生は「きたなあ…」と奥歯をかみしめて身構えた。「然しよくよく考えてみるに、君はお母さんを亡くし、その後に来たお母さんにいじめられ、本当に可哀想だと世間のうわさだが、大変だったなあ…。
思えば、そのうっ憤ばらしに、悪いと知りながら、やった事であると私は思う。そうだな」学生はおもわず拳を握りしめ、うなずきつつ、胸の熱くなるのをおぼえた。「然し、ここでよく考えてみなさい、今さらお母さんの死を悔いても仕方がない。人間は、必ず死ぬ。いずれの日か死ぬという人生を、今日一日を価値高く生きよと、母の死は教えているのだ。君のお母さんは、若くしてこの世を去ったが、立派なお母さんだった。君のお父さんが、
“まま母”と、君との間に立って、どれほど、気を遣い、心を痛めていられるかを考えたことがあるかい。人間だけが、神の立場や相手の立場に立って考えることが出来るのだ。
自分を捨てて、心から親孝行をすれば、どんなひどい“まま母”でも、必ず感動するときが来る。
今、君が、すぐやるべきことは親孝行だ。
これは人間だけにある行為なのだよ。こんな話をするのも、亡くなった君のお母さんが、草葉の陰から手を合わせて、私を通じて話をしているような気がしてならない。まして、君は数多い卒業生の中で、将来大人物になる素質がある。
長年教育をやって来た私の立場から、それはよく判る。だが一歩誤れば犯罪者にもなる。今が大切な分岐点だ。だから、これからは、本来の君に返り、心を明るくして朗らかにし、清く正しくもつことを心がけ、人の為、母の為になるように生きて欲しい。とはいっても、人間は照れくさいもので、すぐには出来ない。
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