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傾国の寵愛~初恋は熱く淫らにひそやかに~
第5章 真心の証(あかし)~逢瀬は美しく儚く~
あからさまに異性に褒められたことも口説かれたこともないソナはもう行き場がないほど居立たまれない。すっかり冷静な思考力を失ってしまって、考えるより先に言葉が出ていた。
「私の家族の話をするわね。私の両親は都に流行病(はやりやまい)がはやった年、相次いで亡くなったの。私が七歳のときよ。その後、四歳の弟と一緒に親戚の伯父―、父の兄に引き取って育てて貰ったの。弟はヨジュンというわ」