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白い背中と君の藍
第1章 インディゴ ◇始まりの空
「おい! メ……和久井。変な声出すなよ」
お弁当をレジに持って来てくれた智充先輩の肘鉄が、軽く脇腹に入る。
「失礼しました!」
再びしでかした失態に、穴があったら飛び込みたい気持ちで素早くお弁当を袋に入れた。
持ち手を軽く回して、男性に差し出す。
「お待たせ……しました」
「……」
無言で持ち手の輪に掛けた男性の人差し指の先には、『藍色』の絵の具が付いていた。
「あ……」
「?」
声を途切らせてしまった私に、指の動きが止まる。
喉の奥の方で、痰が絡んだみたいに詰まった言葉を吐き出したい。
『また、あの場所で描いてますか?』
指先からゆっくりと視線を上げると、さっきまで空を見据えていた黒い瞳に私が映っている。
ドックン!
心臓を揺す振られたみたいに疼き出す。
もう少し――――
このまま。
心の中で何かが囁いたが
「ありがとう……ございました」
ようやくマニュアル通りの言葉を伝えると男性は目を細め、何とも言い難い表情を残して店を出て行った。
お弁当をレジに持って来てくれた智充先輩の肘鉄が、軽く脇腹に入る。
「失礼しました!」
再びしでかした失態に、穴があったら飛び込みたい気持ちで素早くお弁当を袋に入れた。
持ち手を軽く回して、男性に差し出す。
「お待たせ……しました」
「……」
無言で持ち手の輪に掛けた男性の人差し指の先には、『藍色』の絵の具が付いていた。
「あ……」
「?」
声を途切らせてしまった私に、指の動きが止まる。
喉の奥の方で、痰が絡んだみたいに詰まった言葉を吐き出したい。
『また、あの場所で描いてますか?』
指先からゆっくりと視線を上げると、さっきまで空を見据えていた黒い瞳に私が映っている。
ドックン!
心臓を揺す振られたみたいに疼き出す。
もう少し――――
このまま。
心の中で何かが囁いたが
「ありがとう……ございました」
ようやくマニュアル通りの言葉を伝えると男性は目を細め、何とも言い難い表情を残して店を出て行った。