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白い背中と君の藍
第6章 アメジスト◇束縛の印
ドックン!!
先輩の言葉が鳥羽さんとの思い出に泥を掛けたみたいに、胸の奥からドロッとした物が吹き出す。
途端、私は先輩の手を振り払って感情のまま叫んだ。
「先輩には関係ないでしょ!」
「恵! 落ち着けよ!」
「帰りますから退いて下さい!」
先輩は激怒している私を宥めようとしたけど、急いで自転車の鍵を解除した。
今まで先輩に怒ったことも、誰かにこんな風に怒鳴ったこともない。
特別な物を持っていない私には、日々穏やかに過ごせることしか大切だったから、人との揉め事も極力避けてきた。
ましてや何でも出来る智充先輩に、反発するなんて自分でも思ってもみない。
でも――――
どうにも抑えきれない感情だった。
「失礼します!」
ガッチャン!
吐き捨てるように言って、勢い良く自転車を漕ぎ出す。
「恵!! ごめん!」
自分に向かって先輩の謝る声が聞こえてきたけど、後ろを振り向くと背中の華が散ってしまいそうで、振り切るように全速力で家に帰った。
先輩の言葉が鳥羽さんとの思い出に泥を掛けたみたいに、胸の奥からドロッとした物が吹き出す。
途端、私は先輩の手を振り払って感情のまま叫んだ。
「先輩には関係ないでしょ!」
「恵! 落ち着けよ!」
「帰りますから退いて下さい!」
先輩は激怒している私を宥めようとしたけど、急いで自転車の鍵を解除した。
今まで先輩に怒ったことも、誰かにこんな風に怒鳴ったこともない。
特別な物を持っていない私には、日々穏やかに過ごせることしか大切だったから、人との揉め事も極力避けてきた。
ましてや何でも出来る智充先輩に、反発するなんて自分でも思ってもみない。
でも――――
どうにも抑えきれない感情だった。
「失礼します!」
ガッチャン!
吐き捨てるように言って、勢い良く自転車を漕ぎ出す。
「恵!! ごめん!」
自分に向かって先輩の謝る声が聞こえてきたけど、後ろを振り向くと背中の華が散ってしまいそうで、振り切るように全速力で家に帰った。