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白い背中と君の藍
第6章 アメジスト◇束縛の印
会いたい、鳥羽さん――――!!
先輩を振り切って、そのまま鳥羽さんのアパートに行きたかったけど、突然訪ねたら迷惑を掛けるだろうから我慢をした。
家まで大した距離ではないのに、急いで自転車を漕いだのと妙な切迫感に襲われて、いつも以上に汗を掻いている。
「恵、お帰り〜。今日は早いわね」
「た、ただいま……汗掻いちゃったからお風呂入るね」
「ご飯食べるでしょ?」
「うん……お風呂上がったら食べる」
台所でお皿を洗っている母親と、ドア越しに会話をしながら急いでお風呂場に向かう。
バッタン――――!
今の私の気持ちみたいに、ドアがけたたましく閉まる。
脱衣場の洗面台に自分の姿が映り、悲愴感が浮かぶ顔を食い入るように見詰めた。
先輩の言葉を思い出して、首の角度を変えてみると
「あ……痣だ」
ほんの小さく薄い黄色味がかった点が、首筋に浮き上がっている。
もう消えかかっている痣は、最初の色の面影はない。
「これで気付くもんなの? 智充先輩、勘が良すぎるよ」
これも経験値がなせる技なのかもしれないと思いながら、取り敢えず完全に消えるまでは絆創膏でも張っておくことにした。
先輩を振り切って、そのまま鳥羽さんのアパートに行きたかったけど、突然訪ねたら迷惑を掛けるだろうから我慢をした。
家まで大した距離ではないのに、急いで自転車を漕いだのと妙な切迫感に襲われて、いつも以上に汗を掻いている。
「恵、お帰り〜。今日は早いわね」
「た、ただいま……汗掻いちゃったからお風呂入るね」
「ご飯食べるでしょ?」
「うん……お風呂上がったら食べる」
台所でお皿を洗っている母親と、ドア越しに会話をしながら急いでお風呂場に向かう。
バッタン――――!
今の私の気持ちみたいに、ドアがけたたましく閉まる。
脱衣場の洗面台に自分の姿が映り、悲愴感が浮かぶ顔を食い入るように見詰めた。
先輩の言葉を思い出して、首の角度を変えてみると
「あ……痣だ」
ほんの小さく薄い黄色味がかった点が、首筋に浮き上がっている。
もう消えかかっている痣は、最初の色の面影はない。
「これで気付くもんなの? 智充先輩、勘が良すぎるよ」
これも経験値がなせる技なのかもしれないと思いながら、取り敢えず完全に消えるまでは絆創膏でも張っておくことにした。