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白い背中と君の藍
第6章 アメジスト◇束縛の印
鳥羽さんは一瞬押し黙り、何か心得たように抱き締めてくる。

ある程度の願望を許し合う――――

私たちの間の暗黙のルールが、自然と出来上がっているみたいだ。

だけど鳥羽さんは少し困った声で

「メグ……俺、縛り方知らないよ」

早くも白旗を揚げてきた。

心が縛れないなら、せめて身体を束縛して欲しいと、無意識に口にしてしまったことに何か申し訳なく思う。

諦めようかとも思ったけど、不意に蟠っていた疑問が頭を覗かせた。

ピアスのこと……
先輩の否定的な言葉や観せて貰えない絵……。

負のエネルギーが、私の中の欲望を増幅させて溢れ出させる。

「えっと……手首で良いの」

「手首で?  それなら簡単だけど」

「うん……痕が残るくらいキツく縛って」

「……いいよ」

鳥羽さんは絵を描く時に使おうとしていたか、まだ汚れていない布切れを引っ張り出して、私の手首に巻き付け始めた。

私は拘束される手首をジッと見詰める。

またキスマークの華を描いて貰うのも気が引けるから……
これなら簡単に『束縛の印』が残ると思ったの――――。

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