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白い背中と君の藍
第9章 サンドベージュ◇繊細な心
「きゅ、救急車!?」

この状況に他に方法が思い付かない。

バッグからスマホを取り出して、119をタップしようとした時――――

「……メグ……」

名前を呼ばれた。

「孝秀……大丈夫?」

囁きかけるように聞き返すと

「メグ……行かないで……」

孝秀は泣きそうな声で私に手を伸ばしてきた。

「――――!?」

瞬間、息が詰まったみたいに胸が苦しくなる。

ヒューズが弾けたように頭の中に光が飛んで、横たわっている孝秀に覆い被さった。

「孝秀!!  ごめんね!  ごめんね!」

言いたいことは沢山あるけど、孝秀を不安にさせてしまったことを必死で謝りながら抱き締める。

「メグ……したい……」

今は体調が悪そうなのに、孝秀は動物の本能からか私を求めてきた。

「うん……分かった。だけどその前にご飯食べよう。孝秀痩せたよ」

この一週間全く食べていない訳じゃないだろうけど、抱き締めた身体は少し細くなっている。

何か食べ物はないか冷蔵庫を確認するのに身体を起こし掛けたら、孝秀の腕が背中に巻き付いてきた。

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